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生活排水による水質汚染について


生活排水による水質汚染の原因

 水質汚染の原因の1つは生活排水による汚染である。
 現代の健康被害を脅かす一番の要因でもあり、原因の約70%を占めている。
 生活排水は「トイレの排水」とその他の「生活雑排水」の二つに分けられ、主な要因である「生活雑排水」の中のでも台所からの影響が最も大きいと言われている。

生活排水による水質汚染の現状

 平成30年度末における全国の汚水処理人口普及率は、約91%となり、良い結果のように見えるが、未だに約1,100万人が汚水処理施設を利用できない状況にあるというとらえ方もできるだろう。
 上でも述べた通り「生活雑排水」の影響が大きく、生活雑排水の※BOD(生物化学的酸素要求量)=27gはトイレの汚水のBOD=13gを上回っている。例えば、みそ汁をそのまま流した場合、魚がすめる水質(BOD 5mg/l)にするのに浴槽約5杯の水が必要になる。また、てんぷら油500㎖の場合浴槽330杯の水が必要になる。
 1990年~2015年まで国際社会共通の目標とされていた「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」では飲み水に関する目標はほとんど達成できていた。ところが、MDGsでは排水処理や再利用についての項目がなく、生活排水の大半はそのまま流されている。これによって経済的な損失も起き、世界的な社会問題となっている。
日本でも、法律によって産業排水の面では改善されたが、生活排水による汚染が目立つようになった。

生活排水による水質汚染の対策

 生活排水に関しては産業排水と異なり、一般家庭が環境に対しての意識を変えなければ改善はかなり難しいだろう。
 生活雑排水の中で最も大きい影響を与えている台所からの排水の対策として、まず、食材を買いすぎない残さないという意識を持つことが必要である。それを踏まえたうえで、以下のことに気を付けよう。

• 汚れのついた食器や調理器具をスクレーパーでかき落とし、新聞紙などでふき取ってから洗う。
• 三角コーナーや排水溝では、水切りネットを活用し食べ残しなどをなるべく流さないようにする。
• できた生ごみはたい肥として、米のとぎ汁は、流さずに植木や鉢植えに水やりとして活用するとよい。

台所のほかにも洗濯やお風呂場の場面において洗剤やシャンプーやリンスなどを適切な量を取り、使い切るということが重要である。


※BODとは、生物化学的酸素要求量のことで、水中の有機物が好気性微生物によって分解されるときに消費される酸素量のことである。この値が大きいほど水が汚れているということになる。


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